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郵政新体制にのしかかる徹底調査と早期販売再開のジレンマ - 日経ビジネス電子版

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 保険の不適切販売が多数発覚した責任を取り、2019年12月27日にトップ3人が辞任を発表した日本郵政グループ。新たに経営のバトンを託された増田寛也・日本郵政社長、衣川和秀・日本郵便社長、千田哲也・かんぽ生命社長が1月9日、東京都内で記者会見を開いた。増田社長は「日本郵政は創立以来最大の危機にある」と述べ、1日も早い顧客の信頼回復を目指す姿勢を打ち出した。

記者会見する日本郵政の増田寛也社長(中央)、日本郵便の衣川和秀社長(左)、かんぽ生命の千田哲也社長(写真:共同通信)

 現在、郵政側は「特定事案」と称する、不適切販売の疑いのある18万3000の契約の調査を進めており、本年度中に終わらせたいとしている。しかし、それと並行して進めている3000万件の全契約調査などを通じて、子や孫を被保険者として契約している高齢者がいたり、「ヒホガエ」と呼ばれる、同じ契約者に対して被保険者(保険の受取人)を短時間で変えさせ、契約数を稼いだりする不適切事案も見つかり始めている。

 増田社長は、今後はこうした全件調査で判明した新たな問題も拾い出し、類型化して改めて調査するとした。調査スピードも「今のままでは遅い」として、新たに調査員を投入するなどして、問題の早期解明を目指す方針を明らかにした。

 問題の全容解明に向けた取り組みの途上でまた新たな問題が見つかる――。今後もこうした動きが予想されるだけに、かんぽ生命の保険販売再開は難しい状況だ。金融庁はかんぽ生命と保険販売元の日本郵便に対し、新規の保険販売を対象に3カ月間の業務停止命令を出した。業務停止期間中に問題の原因を突き止め、販売体制を確立できるかははっきりしていない。3カ月後の販売再開はできるかという質問に対して増田社長は「現時点ではまだそこまで考えが至っていない。問題解明が先」と明言を避けた。

 問題解決を優先する姿勢は大事にすべきだろう。しかし、保険の販売停止期間が長引けば長引くほど、経営体力を圧迫するのは確実なだけに、郵政に与えられた時間は限られている。

 加えて日本郵政は上場しており、民営化の途上にある。政府の影響を早期に薄めていく方が経営の自由度が増し、サービスの改善にもつながるのは確実だ。それだけに政府が保有する郵政株の売却もできるだけ早く進めたいという思惑が働く。政府の出資が残る限り、民営化法で同業他社への配慮が定められているため、加入限度額の設定をはじめ、さまざまな規制の中で商品を販売しなければならないからだ。

 1日も早い「中途半端な民営化」の状況を抜け出すためにも、収益回復に向けて早期に販売再開をし、政府の手元を離れたい。だが、信頼回復に向けたハードルは高い。このジレンマを、増田新社長はどうかじ取りしていくのだろうか。会見で増田社長は「まずは成長路線を封じ、足元を固める」と語るが、時間がそれほどないことは、本人が一番良く分かっているだろう。

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