日本百貨店協会が22日発表した4月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比72・8%減となり、統計を始めた昭和40年年以降で最大の減少率だった。これまでは3月の33・4%減が最大だった。マイナスは7カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が全国に発令され、百貨店の営業自粛が広まったことが響いた。5月は店舗の営業範囲が拡大しているが、以前の水準に売上高が戻るには時間がかかりそうだ。
売上高全体のうち、国内客による売り上げは70・6%減。訪日外国人客による免税売上高総額は、海外からの渡航制限で購買者数がほぼ消失したことから、全国90店で98・5%の減少を記録した。
地域別では、緊急事態宣言の当初から対象地域だった東京や大阪などを含む大都市が76・0%減、地方は64・2%減となり、営業日数の差が表れた形だ。調査対象の全店ベース(203店)の売上高総額は1208億円だった。
商品別(既存店ベース)では、営業自粛の影響を受け、衣料品、靴やバッグなどの身の回り品、食堂・喫茶では8割超の減少と大きく下げた。一方、生活必需品として売り場の営業を継続した店も多かった食料品については、53・0%減にとどまった。中でも生鮮食品は31・6%減で、「巣ごもり消費」による一定のニーズを取り込んだ格好となった。
例えば、緊急事態宣言後も食料品売り場の営業を続けた高島屋では、既存店売上高と入店客数はともに7割超の減少率だったが、野菜や肉・魚などが堅調で、生鮮食品売上高は18・2%減にとどまった。多くの百貨店が営業を継続したネット通販サイトも利用が急増し、高島屋では2倍以上の売り上げを記録した。
一方、同協会が同日発表した5月1~18日のサンプル調査では、全国37店の売上高は前年同期比約85%減、東京23区の13店に限ると約90%減だった。
今後について同協会は、緊急事態宣言が14日には39県、21日には近畿3府県でも解除され、各社が地方店を中心に段階的に営業再開に向けて動き出していることを踏まえ、「5月後半の業績が徐々に回復していくことが期待される」とコメントする。
ただ、新型コロナで消費スタイルも大きく変化しており、営業を本格再開をしても客足がどれぐらい戻るかは未知数だ。(日野稚子)
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