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10年で売上高1.7倍 地方企業がブランド経営に投資して好調 - 日経クロストレンド

農業機器を開発・製造・販売するオーレック(福岡県広川町)は、乗用草刈り機の分野で国内トップシェアを維持している。1948年に創業、今年で73年目を迎える。売上高は131億円(2019年6月期)。この10年間で売上高は1.7倍に増えた。その地方の優良企業が今、インナーブランディングに取り組む。

「OREC green lab 長野」の外観。目の前を通るのは長野から新潟に抜ける国道で、人の多く通る場所を選んだ

「OREC green lab 長野」の外観。目の前を通るのは長野から新潟に抜ける国道で、人の多く通る場所を選んだ

 近年、同社は採用活動を積極的に行い、社員数はこの10年間で1.5倍になった。2019年6月期で336人。社内のどの部署でも若手が増えており、「現場が活気を取り戻した」と話す声もある。

 同社は16年にリブランディングを実施した。同年3月、福岡市と東京・表参道でメディア向けにブランディング発表会を行い、同社の新しいブランドコンセプト「草と共に生きる」とロゴ、コンセプトモデル(これを基に製品をデザインする際の指針とする)を発表。6月には長野市にブランド発信拠点としての機能を持たせたショップ「OREC green lab 長野」をオープンした。草刈り機以外の事業領域にも戦略的に進出し、農業に関わる食・健康・環境・ITの4分野での新規事業に挑戦している。

 19年には、水田除草機「WEED MAN(ウィードマン)」がグッドデザイン賞を受賞。同製品はオーレックと、本田技術研究所(埼玉県和光市)出身のプロダクトデザイナー、やまざきたかゆき氏のpdc_designworks(東京・渋谷)、エイトブランディングデザイン(東京・湊)の3社が協業。「日本の米作りを、変える」を目標に、水田の除草作業を大幅に効率化することに成功した。

オーレック本社のエントランスには広いスペースが設けられ、来客者を迎え入れるように製品が展示されている。車体の色は、リブランディングの際にコンセプトモデルをつくり、ロゴと同じ緑色にそろえた。中央は2019年度グッドデザイン賞に選ばれた水田除草機「WEED MAN」(写真/林田大輔)

オーレック本社のエントランスには広いスペースが設けられ、来客者を迎え入れるように製品が展示されている。車体の色は、リブランディングの際にコンセプトモデルをつくり、ロゴと同じ緑色にそろえた。中央は2019年度グッドデザイン賞に選ばれた水田除草機「WEED MAN」(写真/林田大輔)

 新規事業の1つとして15年には畜産消臭システム「Dr.MIST(ドクターミスト)」も発売。鉱物由来の天然ミネラルを抽出した独自成分を含む液体を散布することで、牛舎内のアンモニアを分解する製品。牛の健康に寄与すると同時に、農家の生産性向上効果もあるという。

「Dr.MIST」の紙のカタログ。一般的な製品説明だけではなく、インタビューや豊富な実証データを盛り込む

「Dr.MIST」の紙のカタログ。一般的な製品説明だけではなく、インタビューや豊富な実証データを盛り込む

Dr.MISTを紹介する動画。リブランディング後、動画は非常に重宝しているという

Dr.MISTを紹介する動画。リブランディング後、動画は非常に重宝しているという

 30年前から進出する海外市場では、主に果樹園に特化した草刈り機「RABBIT MOWER(ラビットモアー)」をはじめとした製品が、造園などの緑地管理やフランスの有名なワインぶどう栽培地域で活躍している。10年には米国に現地法人を設立し、東南アジアはもちろん、既に約50カ国に進出。インド、欧州、オセアニアを開拓している。

新たな戦略をどう表現するか

 同社が全面的なリブランディングに取り組んだ背景には、2つの理由がある。一つは、有機農業全般に関わり、より環境保全に貢献できるようになるという企業戦略を決めたこと。もう一つは、BtoCにおける知名度が圧倒的に低かったことだ。

 オーレックは当初、本州や四国向けの草刈り機に関してはOEM(相手先ブランドによる生産)で販売していたが、80年にはOEMをやめて自社ブランドに切り替えた。以後、様々な機器で“オンリーワン・ナンバーワン”を掲げる同社の製品は、その高品質を武器に、高いブランド認知度を誇るまでに成長した。今村健二社長によれば、「業績を上げるためのブランディングは必要なかった」。だが、「地元の人にさえ『あそこに会社があるけど、何をしている会社だろう』と言われるような状況だった。採用活動でも、学生に名前を知られていないために苦労した」と言う。

 その頃にいわゆる「ブランド経営」の概念を知り、2013年に、企業のブランド開発などを強みとするエイトブランディングデザインとコンサルティング契約を結んだ。まず、同社代表のブランディングデザイナー、西澤明洋氏に相談しながら、ブランディングを活用した経営手法の根本を担うブランドコンセプトを決めた。今村氏と社員の一部が共に話し合うことで、「草と共に生きる」というフレーズと緑色の4本の斜線のロゴが出来上がる。それらは除草剤をかけて草を根絶やしにせず、草を刈って自然の中に残す無農薬が安全で、安心を生み出すことを表している。

ブランドロゴの4本の線は、地面から生える草をイメージしたもの。一般消費者にも分かりやすい

ブランドロゴの4本の線は、地面から生える草をイメージしたもの。一般消費者にも分かりやすい

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