新型コロナウイルスで落ち込んだ市内経済の回復を図る川崎市のプレミアム商品券「川崎じもと応援券」の販売が終了した。六月からの予約販売では四十八万冊が売れ残っていたが、直接販売に切り替えたところ不人気が一転、二週間足らずでほぼ完売し、使える店も目標の五千店を超えた。県内自治体でも発行が相次ぐ過熱ぶりに、専門家は「人気取り施策の面があり、経済効果も限定的」と懸念も口にする。(安藤恭子)
「先月の電動アシスト自転車の売り上げは、全てじもと応援券。お客さんに喜んでもらえるのが一番」。市内の自転車店の男性(50)は、応援券の効果を実感している。男性が営む駐輪場ではオンライン授業になった大学生や主婦らの利用が減ったといい「応援券はありがたいが、消費熱は一瞬で冷めるんじゃないか」と不安も漏らす。別の飲食店からは「新規の客が増えた」と歓迎の声もある。
じもと応援券は一冊一万円で一万三千円分つづられ、総発行数八十七万冊。利用期限は来年三月末まで延長された。使える店の増加など使い勝手の向上に加え、購入冊数が「事実上無制限」となったことで大量購入する人も現れ、十月末で販売を終えた。
十月からネット上で市民アンケートを行っている重冨達也市議によると、六日までに百三十六件の意見が寄せられ、応援券の満足度は、満足と不満が拮抗(きっこう)しているという。重冨さんは「『中小個人の店を見つけるのが楽しみになった』という肯定の意見の一方で、使える店が少ないとか分からないといった不満も多い」と分析する。市の担当者は「市ホームページで、店舗名や町名からも使える店が検索できるので、参考にしてほしい」としている。
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コロナ禍の経済対策としてプレミアム商品券の発行は、県内でも相次いでいる。県によると、藤沢市や横須賀市、逗子市など十数カ所の自治体が実施や準備をしているという。
「よそがやっているからうちも、と自治体が競うように始めており、住民と市内の事業者を対象とした人気取り施策になりつつある」。八代尚宏・昭和女子大副学長(労働経済学)は、過熱ぶりを危ぶむ。
「ネット通販の代わりに市内事業者で買うようになる効果はあるだろうが、消費者がもともと買うつもりだった日用品やサービスに充てた場合には消費の先食いにすぎない」と八代さん。こうした「合理的な買い物」が徹底された場合、「浮いた分は貯蓄に回る」と話す。
プレミアム商品券の消費押し上げ効果は、予算の三割程度という試算もある。川崎の応援券はコロナに伴う国の臨時交付金三十億円を財源とするが、印刷や販売手数料にかかる委託費も三億六千万円に上り、「これらは本来なくてよい支出」(八代さん)だ。購入冊数が「事実上無制限」となったことについても「富裕層ほど得をする。制限は必要だ」と指摘する。
「優先すべきはコロナで今も重労働を強いられている医療・介護、保育など欠かせない働き手や、影響が大きい文化事業などへの支援。自治体の知恵が問われている。本当に必要な施策とは何かを考えてほしい」と八代さんは述べた。
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