新型コロナウイルスは一向に収まる気配がない。むしろ最近では中国から日本、韓国、イタリアなど欧州にまで広がりをみせている。そのような中、産業界での一つの懸念は、世界最大の自動車販売台数を誇る中国市場が、今後どのような推移となるかである。あくまで筆者の推測であるが、これについて考えを述べてみたい。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)
生産が元に戻る時期は
実は中国の自動車販売台数に変調が現れたのは2018年である。これまで順調に推移してきた自動車販売台数は、17年に約2900万台となり、18年には3200万台近くに達するのではと予測された。しかし、米中貿易摩擦の影響にて18年は約2800万台と若干低下し、19年に至っては、対前年比で9.2%減の約2580万台にまで落ち込んだ。
では今年20年はどうかと考えるに、最悪で1500万台、良くても2000万台ではないかと推察する。2500万台から2000万台への変化は、日本市場が1年でなくなるほどのインパクトである。
大幅減少の理由として、交通の要衝である武漢が封鎖されており、生産・物流の面で全く動く気配がないことがある。
中国ではリモートワークなど在宅勤務をしている方も多いと聞くが、こと自動車産業に至っては、部品製造、自動車製造、自動車輸送など、人手に頼ることが多く、リモートワークでは対応できない。
北京に住む友人と話をしてみても、再開への見通しは暗い。筆者の予想として、各地の移動制限は夏頃まで続くのではないだろうか。その際に最も恐れるのは、武漢の封鎖を解除することにより、人々が北京、上海、重慶などに移動し、“第2の武漢”となることである。
また、部品メーカー、自動車メーカーが生産を再開したとしても、感染地域の自動車メーカーは、内外装品への消毒など、これまでにない作業が必要となるであろう。
さらに今回の件で消費者マインドが冷え込んでいることも考えられる。つまり、今日より明日、明日より明後日が明るいと思えれば、新型自動車を購入しようと考えるかもしれない。しかし、明日の仕事がどうなるか分からないと思えば、いくら生産しようにも市場とマッチしてこない。
最も警戒すべきこと
このような厳しい環境下で、中国自動車産業で警戒すべきことは、企業の淘汰(とうた)である。これまでも自動車メーカー、部品メーカーが多すぎるといわれてきた。今回の新型ウイルス騒動によって、資金繰りが悪化し、市場から撤退する企業が出てくるのではと予想する。
日系自動車メーカー、日系部品メーカーも現地調達率を増やすため、積極的に中国地場企業を採用してきた。しかし、自動車産業のサプライチェーンがあちこちで寸断されると、いくら再開してボリュームを増やそうとしても続かない。代案として、日本や他アジア地域の生産に切り替えればよいとの話もあるが、生産設備、品質管理なども考えるとそう簡単ではない。
過去を振り返ると、米国ではエジソン研究所の研究員であったヘンリー・フォードが、エジソンの勧めにて1903年に独立してフォードモーターを設立した。その5年後にT型フォードを発売して大ヒットとなると、それをきっかけとして200社以上の自動車メーカーが乱立したといわれている。
しかし、現在生き残っているのは、大手でゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)それに昨年末に電気自動車(EV)「サイバートラック」を発表し、既に50万台を超える予約を集めたテスラぐらいである。
別の見方をすれば、このような激変の時代をどう生き残るか、企業の適用能力と資金力が試されるのであろう。ただし暗い面ばかりではない。中国は近年、人工知能(AI)、ビッグデータ、自動運転などの先端技術で世界のトップを走っている。
いったん、新型ウイルスが終息すると、これまでの鬱憤を晴らすべくV字回復になるのではないだろうか。まさにシュリンクして力をため込んでいるともいえる。その時、日系企業は、これまでと同様のビジネス形態で接するのか、はたまた異なるアプローチを取るのか、将来戦略を考える良い機会ではないかと思われる。
【プロフィル】和田憲一郎
わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i−MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。63歳。福井県出身。
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