自動車製造業者・輸入業者協会(APIA)の2019年12月の会報によれば、2019年のルーマニア国内の新車販売台数は、前年比9.5%増の17万3,239台だった。また、ルーマニア自動車製造者協会(ACAROM)の1月15日発表によると、国産の完成車メーカー2社による新車生産台数は前年比2.9%増の49万412台となった(添付資料表1参照)。
メーカー別の新車の販売シェアは添付資料表2に掲載している。
このうち、日本車の新車販売台数は、トヨタ(26.4%増の6,547台)、日産(16.5%増の4,597台)、スズキ(18.3%増の4,943台)、マツダ(23.1%増の2,781台)と続き、日系メーカーの合計は2万1,172台で、前年の1万7,440台から21.4%増加した。国民の所得向上が背景にあるが、2019年2月に発効した日EU・EPAがこれを後押ししていると考えられる(EUへの完成車の輸入税率は初年度、従来の10%から8.8%に軽減)。
エコカーの分野では、2019年の販売台数がそれぞれ、電気自動車(BEV)1,523台(前年比約2倍)、ハイブリッド(HEV)4,734台(32.1%増)、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)401台(31.5%増)となった。エコカー市場自体の規模はまだ小さいが、近年著しい伸びを見せている。また、2019年にはフォード(米国)が約2億ユーロを投資し、ルーマニア初のハイブリッド車「プーマ」の生産を開始した。
ルーマニアでは、環境省による新車への買い替え補助制度「ラブラ・プログラム」により、車齢8年以上の古い自動車を買い替える者には、6,500レイ(約15万6,641円、1レウ=約24円、レイはレウの複数形)が補助される。また、エコカーの購入を促進する「ラブラ・プラス・プログラム」では、それらの購入者に対して追加で最大4万5,000レイ(約107万7,070円)の補助がある。新車の販売台数の増加の背景には、こうした補助金による後押しが大きく影響していると推測される。
一方、2019年の中古車登録台数は、前年比6.1%減の44万4,601台。2017年に環境負荷に応じて課された「環境スタンプ(税)」が廃止された後、中古車の登録台数は爆発的に増えたが、上記の補助金などの効果により、ここ2、3年で消費者の志向は再び変わりつつあると見られる。
しかし、中古車の増加抑制と交通渋滞緩和のため、ブカレスト市が2020年1月1日から導入しようとしていた、交通量の多い特定地域での一定の環境基準を満たさない車両に対する通行規制と「酸素税」導入が、市民からの反対の声に押されるかたちで発表からわずか2カ月で撤回に至るなど、中古車削減にはいまだ時間がかかりそうだ。
(ミンドル・ユニアナ)
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May 24, 2020 at 11:41PM
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