新型コロナウイルスの感染拡大の終息が見通せない中、各地のドラッグストアでは、品薄が続くマスクの販売方法に変化が生じている。開店時の販売をやめたり、不定期販売に踏み切ったりすることで、行列やトラブルの発生を防ぐ狙いがある。同様の対応を取るドラッグストアが広がる一方、「結局、時間がある人しか買えない」との新たな苦情も。「何が正解か分からない」。店頭では模索の日々が続く。（森西勇太）
《販売日・販売時間に関しては、不定期に店頭へ陳列を行う方式をとらせていただきます》
ドラッグストア「ツルハドラッグ」を運営するツルハ（札幌市）は今月、マスク販売に関する新方針をホームページで示した。全国の店舗で原則として開店時の販売をせず、不定期での販売に切り替えたという。
ツルハの広報担当者によると、新型コロナの感染拡大以降、各店舗では早朝からマスクを求める客の行列が発生。購入をめぐるトラブルが起きたり、近隣住民に迷惑がかかるケースも起きたりした。また並べる人だけが購入できるという不平等さから、「朝並べないので買えない」との不満も相次いだ。
そこで踏み切ったのがマスクの「ゲリラ販売」。販売のタイミングをランダムにすることで、感染リスクなどが懸念される行列の阻止を図った。現時点で大きなトラブルは起きていないというが、「『結局、時間のある人しか買えない』という声も寄せられている」と担当者。尽きぬ不満に頭を悩ませている。
「何が正解かはわからず、ベストな方法もない中での苦肉の策だった」
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ドラッグストア「スギ薬局」の運営会社の担当者が明かす。スギ薬局の各店舗では10日から、マスクと消毒用アルコールについて同様の販売方法に切り替えていた。
担当者によると、現時点で目立った混乱は起きていない。それでもSNSでは《商品販売まで店内を回り続ける人がいる》《駐車場で待機する利用客も》との指摘が上がる。
「お客さまの声や従業員の負担を考慮しながら、次の対応方法を判断したい」とスギ薬局の担当者。マスクなどの品薄が一向に解消されない中、現場では手探りの対応が続きそうだ。
開店時のマスク販売の中止を知らせるドラッグストアの張り紙＝23日午前、大阪市中央区（安元雄太撮影）疲弊する従業員 企業が支援も
厳しい状況下で営業を続けるドラッグストアやスーパーマーケットでは、品薄や欠品に起因するクレームが相次ぎ、退職を余儀なくされる従業員もいるという。業界は利用客に理解を求め、支援金を拠出するなどして最前線に立つ人たちを支えようとしている。
「飛沫（ひまつ）感染防止のため、レジカウンターにビニールカーテンを設置する」「手袋の使用などで紙幣や硬貨の受け渡しに配慮する」
日本チェーンドラッグストア協会（横浜市）が加盟会員に通知した感染防止策。協会は通知の中で、根強いニーズのあるドラッグストアを「ライフライン」と位置づけ、営業継続は「従業員の感染防止対策にかかっている」と強調した。
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利用客に向け、異例ともいえる「営業継続への協力」を呼びかけたのは、食品スーパーの主要3団体だ。うち一つのオール日本スーパーマーケット協会（大阪市）によると、店舗ではマスクをはじめとした衛生用品の品薄や欠品によるクレーム対応が増加。結果、従業員が心労を募らせ、退職相談に歯止めがかからない状態が続いている。
こうした中、独自の施策で従業員を支えようとする企業もある。
スーパーマーケットチェーン「ライフ」を展開する「ライフコーポレーション」は約4万人の全従業員に総額約3億円の「緊急特別感謝金」を支給。外出控えに伴う食料品の需要拡大で来店客が増加し、業務の負担が増したことに配慮した。また中四国を中心にスーパーを展開する「ハローズ」（本部・岡山県早島町）も、全従業員に対して支援金を出すことを決めた。
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April 24, 2020 at 05:15AM
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