クリスマスムードが漂う2019年12月21日、記者は東京都内のファミリーマートを訪れた。すると、見慣れぬのぼりが店頭にあることに気付いた。「あま〜い焼きいも」というコピーとともに、ほくほくの焼き芋が目に入ってきた。店舗にも「焼きいも 販売開始!」というポップが貼ってある。
店内に足を踏み入れると、焼き芋の専用機を発見した。スーパーの入口にあるような大型のものではなく、やや小ぶりのサイズだ。カウンターの上という“一等地”にちょこんと置いてあり、石の上には6本の焼き芋が並んでいる。価格は税込198円だ。
ファミマと統合したサークルKサンクスは焼き芋の販売をしていたことがある。ファミマの幹部はかつて記者に「当時のマニュアルや原材料であるサツマイモの仕入れルートはある」と教えてくれた。ただ、ファミマの店舗数が約1万7000店舗にまで膨張しているので、全ての店に焼き芋を安定的に供給するのは難しいという見解だった。
ついに、ファミマは焼き芋の全国販売に踏み切ったのか? 広報担当者に尋ねてみると「19年12月末から焼き芋の実験販売をしているのは確かです。ただ、詳細についてはお答えしかねます」という回答だった。
ライバルの動向はどうか。ローソンの広報担当者は「現在、焼き芋の全国販売はしていません」と回答した。セブン-イレブンの広報担当者は「現在も過去も販売したことはない」と回答した。つまり、実験販売の結果次第では、ファミマが大手3社の中で焼き芋の全国販売を唯一手掛けるチェーンになる可能性がある。
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ドンキとの実験店では販売していた
18年6月、ファミマはドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店を都内に3店舗オープンしている。これらの店舗にはドンキが推奨した商品が販売されているのだが、夏にもかかわらずドンキ名物の焼き芋が販売数量ランキングで6位、販売金額では5位になったことがある。この結果を受けて、ファミマの佐藤英成氏(常務執行役員 商品・物流・品質管理本部長)は、「スーパーのマルエツ(東京都豊島区)のように、入口で焼き芋を通年販売しているところがありますが、なぜ売れているのか、いまだにわれわれは分かっていません」「(ファミマでも焼き芋の販売に)トライしてみたい」と語ったことがある。18年9月のことだ。
今回の実験販売には、ドンキとのコラボの影響はあったのか? この点についてファミマの広報担当者は「特に関係ありません」と回答した。
できたての焼き芋を全国のファミマで食べられる日は来るのだろうか。
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