労働安全衛生局が調査を開始
米国ニュージャージー州カートレットにあるアマゾン倉庫内で、「Amazonプライムデー」期間中に1人の従業員が死亡した事件に対し、このeコマースの巨人である同社に対して従業員たちが「情報不足」と声を上げ、公開を求めているようです。
Amazonプライムデーは、プライム会員を対象とした年に1度のビッグセールの日。2022年は、3年ぶりとなる7月開催となっていました。その最中の現地時間7月12日(火)、同社はこのセールでごった返すニュージャージー州カートレットにあるフルフィルメント*センター「EWR9」で死亡事故が発生。これについて、「ニューヨーク州南地区連邦検事局は、OSHA(労働安全衛生管理局)による調査を開始した」とABCニュースは同年7月23日の時点で伝えています。
7月20日(水)のCBSニュースによれば、「米労働省のスポークスマンによると、OSHAのアヴェネルのオフィスはアマゾン労働者の死を調査している。 別のスポークスパーソンは、調査は7月14日(木)に開始された」と述べたあと、「OSHAは検査を実施し、調査結果を発表するのに6カ月の猶予が必要だ」とのこと。
※フルフィルメントとは、主にECやカタログ通販、TVショッピングなどにおいて、注文受付・問合せ対応から決済、在庫管理、物流(ピッキング・梱包・配送)、アフターフォロー(サポート、返品・交換対応など)までの一連のプロセスのこと
7月22日(金)にアマゾンは、この死亡事故の原因が労働環境によるものだという従業員たちの心配をただの「噂である」と否定します。そしてAmazon社でスポークスパーソンを務めるサム・スティーブンソン氏はNBCニュースのインタビューに対し、「死亡事故は本人の健康問題にあった」との声明を提出しています。
さらにスティーブンソン氏は、「死亡した従業員がシフト前の夕方に胸の痛みを訴えていたものの同僚や上司に伝えていなかった」とし、内部調査を既に行っているとも話しています。
アマゾン側は追及を逃れるため死亡従業員の情報を隠匿? 本人の健康問題が原因だと主張
しかしながら、これらのコメントは事件発生後1週間以上のちの開示であり、その間従業員たちの不満は高まっていました。一部には、会社に対して批判を示す者も出ています。CBSニュースが伝えたところによれば、アマゾン側は「同僚の一人が亡くなったことに深く悲しみ、この困難な時期に彼の家族や友人に哀悼の意を表します。私たちは彼の家族にサポートを提供するように連絡しました、そして追加のケアを必要とする従業員にカウンセリングリソースを提供します」との声明も提出しているとのこと。
しかしながらアマゾンは、この死亡事故に対する調査に関して事件当時の従業員と倉庫の状況などの追加情報は、一切提供していないようです。
また従業員の死後数日後、「倉庫の管理担当者はお悔やみのカードを同社の掲示板に投稿し、社内メモで従業員に配布した」と上記のNBCニュースではつづられています。さらにこれに対する従業員たちの想い…「お悔やみのカードに、死亡した従業員のファーストネームしか書かれていなかったこと、そして死因などが一切記されて無かったこと」に対する怒りも述べています。
カードには死亡した従業員の写真の横に「Remembering our Rafael,(ラファエルを偲んで)」と記されており、本文にはラファエルが同社がEWR9と呼んでいる倉庫で働き始めてたったの数カ月であり、「ハードワーカーで」「いつも助けが必要な場所をよく見ている」と記されてありました。「私たちはラファエルを偲び、ご家族にお悔やみを申し上げます」と結んであり、葬儀はドミニカ共和国で行われることが記してありました。
報道各社は未だこの従業員のフルネームを特定できず、家族に連絡を取ることもできていません。ワシントンにあるドミニカ共和国大使館も、情報の提供やコメントの求めに応じていないとのこと。
NBCニュース取材したEWR9で働く2人の従業員は、「死亡した従業員は室温の高さで知られる上層階で働いていた」と証言しました。ですが二人は、なんらかの悪影響を恐れているのでしょうか? 匿名を希望したそうです。2人はまた、「死亡した従業員は倉庫内で、カートを操作する仕事に従事していた」とも語っています。
従業員に口止めか
別の従業員の証言によると、管理職たちに同僚の死についての情報を要望したものの、情報は一切得られず、1人のマネージャーは事件のことは口外しないように言われたそうです。この従業員はこの倉庫に対する憤りは事件以降日に日に増しているとし、「怖いです。私たちには何が、どうして起こったのか知らされるべきです。この事故は、ここの勤める誰もが被る可能性があるものですから…」と語っています。
そして7月22日(金)にアマゾンは、「内部調査によって、この死亡事故の原因に労働条件によるものではないと判断します」と発表します。さらに、労働指導者の時系列の説明に対しても異議を唱えてもいました。
「われわれはチームと救急の素早い対応に感謝しております」とアマゾンのスポークスパーソンのスティーブンソン氏は声明で述べながらも、「このことはEWR9で当該従業員と働いていたわれわれの同僚と従業員の家族に対して、悲劇的なものでした…」としています。
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その前日である7月21日(木)に、2022年4月に同社からのさまざまな圧力にも屈せずALU(Amazon Labor Union=アマゾン労働組合を結成し、『Times』の「THE 100 MOST INFLUENTIAL PEOPLE OF 2022」のInnovators部門の1人にも選ばれている)ニューヨーク・スタテンアイランドにある倉庫「JFK8」で働くALU代表であるクリス・スモールズ氏は、「死亡した従業員は20分以上も意識を失ったまま床に倒れており、911(緊急電話番号)に連絡されるまで1時間以上もかかった」とツイッターで投稿しており、さらに「マネージメントに胸の痛みを訴えた後も、働き続けるようにと言われた」としています。
一方、前出のスポークスパーソンであるスティーブンソン氏は翌22日(金)に、「現場の医療専門家は従業員が倒れた直後に緊急治療を開始した」と違う内容の説明。さらに「911にも即連絡を取り、16分以内に救急車が到着した」と述べていました。
スモールズ氏は、このコメントに対しての説明を要求していませんでした…。
事件は午前中に発生したものの天気予報サイト「AccuWeather」によれば、ニュージャージー州カートレットは7月12日(火)の野外最高気温は摂氏34℃と記録されています(翌13日は摂氏33℃と記録。※一部の報道では、この事故は同月13日とされているものもあるので、同13日の野外最高気温も明記)。
カーテレット地区のスポークスパーソンであるジョン・サロニス氏は、「緊急電話は午前8時頃に施設から連絡し、その後、労働者は近くの病院に移送された」と述べてもいます。
別の証言をきっかけに捜査開始
「EWE9」で働く別の女性従業員マリア(仮名)は、腰の痛みと目の血管の損傷などにより死亡した従業員が倒れた同じ現場で11.5時間のシフトをこなしていたと、前出のNBCニュースで述べています。
そんなマリア氏によれば、「先週の7月17日の日曜日に、労働者が倒壊した建物の同じ場所で11.5時間シフトで働いていた」とのこと。さらに「そこはエアコンとファンへのアクセスが制限された、新しい棟でした」と説明。エアコンと扇風機は限られた数しか設置されておらず、彼女の働く場所では「9ドルのファン」があるだけだったということです。
さらにこう続けています。「息をするのもひと苦労で、血圧が上がっていくのを感じました。倒れるかと思いました」と、当時の状況を語っています。また、「より大きな扇風機のある近くの空いたステーションで働きたい」とマネージャーに要求するも拒否され、「私ができることと言えば、冷たい水を飲んで30分ごとにお手洗いに行くことでした」と語っています。「彼らはあそこで働いている人々のことなど、一切配慮しません」と現場責任者たちのことを評しており、「彼らはただ仕事を終わらせたいだけなんです」とも述べています。
アマゾン側は、このマリア氏が証言した内容ついても直ぐにはコメントしませんでした。そのため、この死亡事故とは別にマンハッタンの弁護士事務所からの要請に応える形で、OSHAがニューヨーク、オーランド、シカゴにあるアマゾンの倉庫の視察を7月18日(月)から開始しました。
そして、「調査員たちは、アマゾン側の勤務時間のペースや安全上の懸念、およびOSHAなどに対して怪我を隠蔽するための工作がされた可能性を調べています」と法執行機関の当局者は7月19日付のNBCニュースに語っています。
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今年5月に北米労働組合の連合体SOC(The Strategic Organizing Center=戦略的組織化センター」は、『THE WORST MILE』と題した「アマゾンの配送システムにおける生産圧力と負傷の危機」の調査レポートを発表。そこで、「ドライバーの5人に1人は怪我をしている」という調査数値(pdf)が出したばかりのタイミングでこの事故は起きました。
アマゾン側のコメントで締めくくりましょう。
「もちろん、われわれはOSHAの調査に全面協力し、最終的にはこれらの懸案が一切根拠のないものだと示されることを信じています」とのことです。
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