黒海とカスピ海に挟まれた旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの間で、領土を巡る武力紛争が続いている。勃発からの2週間で軍人と民間人の死者は450人以上に上っている。
今月に入り、ロシアの仲介で停戦合意が発効した。しかし、その後も交戦が続き、履行はおぼつかない。それどころか、エスカレートする様相すら見せている。
問題となっているのは、アゼルバイジャン南西部のナゴルノカラバフ地域である。山梨県ほどの広さの土地で、住民の大半はアルメニア人だ。
ソ連時代はアゼルバイジャンの自治州だったが、91年に主権を巡ってアゼルバイジャンとアルメニアの間で軍事的な衝突が起きた。3年間の武力紛争を経て、アルメニアが周辺地域を含めて実効支配している。
今回の武力衝突は当時の紛争以来、最大規模となっている。
背景には民族的な違いがある。イスラム教シーア派が主流のアゼルバイジャンに対し、アルメニアはキリスト教徒が多数を占める。
ソ連の支配が揺らいだとき、民族主義の高まりから各地で紛争が起きた。ナゴルノカラバフ紛争もその一つだ。
今回の衝突では、トルコの動きが注目される。言語や文化が近いことから、アゼルバイジャン側を全面的に支持する姿勢を打ち出しているからだ。
トルコは否定するが、アルメニアは「トルコが軍事介入している」と非難している。
アルメニアは、ロシアなどほかの旧ソ連構成国と軍事同盟を結んでいる。今後のトルコの出方によっては、ロシアとの緊張が高まり、地域がさらに不安定化する可能性も否定できない。
武力によって領土問題の解決を図ることは許されない。アゼルバイジャンとアルメニアは、まずは停戦合意を順守し、着実に履行しなければならない。
紛争の最終解決のためには、中長期的で安定的な話し合いの枠組みが欠かせない。両国はその糸口を探るべきだ。
紛争拡大を防ぐため、周辺国は当事者2カ国に働きかけ、交渉のテーブルに着くよう影響力を行使する必要がある。
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