三菱自動車が、2009年に発売した世界初の量産電気自動車「i-MiEV」について、20年度内にも生産を終了する方針であることが18日、関係者への取材で分かった。2期連続の巨額赤字予想で経営資源の選択と集中が求められるなか、自社の電動化戦略の主軸は家庭用電源からも充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)とし、EVは企業連合を組む日産自動車と共同開発で取り組む流れとなっていた。
三菱自は7月には、スポーツ用多目的車(SUV)「パジェロ」の生産終了方針を発表していた。同社を象徴していた車が相次ぎ幕を閉じることになる。
i-MiEVは世界初のEVとしてデビューしたが、その後の改良は小幅にとどまり、全面改良は一度も行われていなかった。給電機能を生かし、家電量販店と組んで太陽光発電システムなどと合わせた拡大なども図ったが、他社も日産「リーフ」などのEVを発売するなか、フル充電で約160キロという短い航続距離はほぼ変わっていなかった。販売台数は20年7月末までの約10年間の累計で約2万4000台にとどまった。
一方、PHVはSUV「アウトランダーPHEV」が人気となっている他、今月17日には「エクリプスクロス」のPHVタイプを年度内にも発売すると発表している。
EVについては、日産とともに23年度までの市場投入を目指し、軽自動車規格の新EVの開発を進めている。20年7月にはこれに備えた総額約80億円の投資を水島製作所(岡山県倉敷市)で行うと発表しており、i-MiEVで培ったEV技術を生かしたい考え。
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