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米で商用バン販売に勢い、ネット通販拡大が後押し - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

ダイムラー傘下メルセデス・ベンツの「スプリンター」(写真)のようなバンの販売が米国で勢いづいている Photo: Mercedes-Benz/Associated Press

 地味なカーゴバンが今、勢いづいている。

 ネットで注文された小包中心の物品を運ぶためのバンの販売台数が急増している。自動車業界幹部やアナリストらによると、オンライン通販の急成長が続いていることや、無料配達サービスの人気がその背景となっている。

 自動車メーカーのバンの販売台数は記録的水準に達しており、各社はバン分野でのシェア拡大を狙い、通常であれば余分な装備を省くことが多いこの種の車に新たな特色を加えたりしている。業界の企業幹部らは、この分野の成長が今後何年間か、自動車市場全体の伸びを上回ると予想している。

 成長を後押ししているのは、米アマゾン・ドット・コムの小包配達ネットワークの拡大だ。アマゾンは2018年以降、同社の配送作業を外部の小規模事業者に委託するようになった。こうした業者に雇われたドライバーは、バンのリース契約やレンタル契約を結んだ。ホリデーショッピングの季節には、全国の街角にアマゾン商品配送用の灰色のバンがとまっているのは、当たり前の光景になった。

 バンの売り上げの伸びに貢献しているのは、アマゾンの配送網だけではない。調査会社J.D.パワーによると、フリートサービス(一定台数の車両による業務)に利用されるカーゴバンの米国内の販売台数は昨年5%増加し、今年は19%増のペースで伸びている。同時期の他の自動車の販売台数は横ばいだった。アナリストや業界幹部らは、配送時間をできるだけ短くする動きを受けて、より小型で、より多用途の車の需要が高まる中、こうした好調な販売が2020年代半ばまで続くとみている。

 調査会社SJコンサルティング・グループのサティシュ・ジンデル社長によれば、大小さまざまな小売業者が、無料配達への消費者の需要の高まりに対応しているという。こうした消費者の期待は、アマゾンのプライムサービスによって喚起された。

 これがバンを手掛ける各メーカーの好調につながっている。「メルセデスベンツ・スプリンター」を製造するダイムラーはじめ、「トランジット」を製造するフォード・モーターや、「プロマスター」を製造するフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の「ラム」ブランドもそうだ。

 新興メーカーもまた、恩恵に浴している。ミシガン州の電気自動車(EV)メーカー、リビアン・オートモーティブ社は今年9月、アマゾンからの大量受注に成功。今後10年間に最大10万台の配送用EVバンを納入するというもので、最初の引き渡しは2021年となる。

 ダイムラー傘下メルセデス・ベンツの「スプリンター」やフォードの「トランジット」などのカーゴバンは、食料品やレストランの宅配のほか、当日配達サービスに必要とされる、短距離・短時間の配達に対処するのに理想的なサイズだ。こうしたバンの車内の広さは、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やフェデックスが使う箱型トラックのおよそ3分の1だ。

 市場調査会社ロジスティクス・トレンズ・アンド・インサイツの主席アナリスト、キャシー・ロバーソン氏によると、通常アマゾンのドライバーが扱う荷物の量はUPSなどよりも少なく、勤務時間中ずっと配達に出たままというより、1日に何度か荷物を積み込みに戻る可能性が高い。

 ロバーソン氏は「これらのバンは、当日配達やより狭い配達エリアを担当するアマゾンのドライバーにとってずっと便利だ」と話す。

 SJコンサルティング・グループの予想によると、米国の消費者が今年、宅配で受け取る荷物の数は86億個に達する。しかし、宅配の伸びは、とりわけ休暇シーズン中の都市部の渋滞を悪化させるため、多くの自治体は荷物の積み込み・積み下ろし専用のゾーンを設けたり、縁石寄りの車の量を減らすために別の方法を模索したりしている。

 米国の自動車市場は何年間も好調が続いたあと、ここにきて勢いを失いつつある。そうした中、宅配用バンは歓迎すべきニッチな成長市場として浮上している。

 バンは、企業や政府に販売される車両としておおまかに定義される商用車市場の主力商品であり、市場はフォードとゼネラル・モーターズ(GM)、FCAに支配されている。商用車の売り上げは通常、デトロイトの自動車各社の売り上げ全体の20~25%を占め、リテール事業の浮き沈みから受ける影響を緩和するのに役立つ。ディーラーを通じて消費者に車を販売するのがリテール事業だ。

 第3四半期にフォードが販売したバンの台数は6万5288台と、過去最高を記録した。同社は10億ドル(約1090億円)余りを投じて、ミズーリ州カンザスシティの工場を改修し、2014年からトランジットの生産を始めた。トランジットは長い間、欧州で商用車の主力商品となっており、従来の大型バン「Eシリーズ」より軽量で燃費効率が良く、さまざまなルーフの高さや車内レイアウトを提示することで、購入者の選択の幅を広げている。

 フォードはまた、自動緊急ブレーキなど安全面での機能やインターネットへの接続といった利便性など、商業用バンには通常装備されていない特徴をバンに追加している。

フォードのトランジット(写真)には安全面での機能など、商業用バンには通常装備されていない特徴が加えられている Photo: /Associated Press

 フォードの国際製品戦略担当バイスプレジデント、ジム・ボーンビック氏は「成長している事業分野向けのビジネスに関連して、当社のバンへの需要や利用の拡大が続いており、大幅な増加が見込まれる」と語った。

 アマゾンと契約している配送業者の一部は、リースまたはレンタルでフォードのトランジットを利用しているが、フォードの広報担当者は、同社がアマゾンにバンを直接納入しているかどうかは明らかにしなかった。

 アマゾンの広報担当者によれば、同社が利用している配送用バンは約3万台で、配送事業用のネットワークとして800件の配送事業契約を締結しており、このネットワークには約7万5000人のドライバーが含まれている。広報担当者はバンについて、具体的なモデルは明らかにしなかった。アマゾンは昨年、ダイムラーにスプリンター2万台を発注したことを明らかにした。ダイムラーは昨年、米国市場にバンを投入するためサウスカロライナ州に新たな工場を新設している。

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 フェデックスの広報担当者は、ネット通販の拡大に対応するため、今春以降に2700台以上の商用バンを購入したことを明らかにした。

 FCAのラム・プロマスターは2015年に発売されて以降、毎年販売を伸ばしてきている。同モデルは、従来のトラックのようなモデルに比べ、より機敏かつ運転操作が容易な車の選択肢として導入された。FCA広報担当者によれば、同社は需要を満たせるよう懸命に努力しており、メキシコのサルティヨ工場では生産水準を何度か引き上げている。

 GMのシボレー・サバンナおよびGMCシエラのバンの売上高は年初から12月中旬までで約8%増加した。広報担当者は増加について、大手ネット小売事業者からの需要を反映したものだったと述べたが、具体的な社名については明らかにしなかった。  

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December 25, 2019 at 07:52AM
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